特集 高次脳機能障害児・者のライフステージに応じた作業療法
扉
佐野 恭子
1
,
長野 敏宏
2
,
竹内 さをり
3
1兵庫医療大学
2御荘診療所
3甲南女子大学
pp.1013
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202661
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特集にあたって
高次脳機能障害による症状の現れ方や生活上の困りごとは,原因疾患や脳損傷の部位,重症度等に加え,発症・受傷年齢,つまりライフサイクル(人生周期)のどの時点で障害を負ったのかによっても影響を受ける.高次脳機能障害児・者支援において,作業療法が大切にしている“その人らしさ”の(再)構築に非常に長い期間が必要であることは,ある程度想像がつく.しかし,高次脳機能障害がそのライフステージでの生活に与えたダメージを理解できたとしても,それを回復する,あるいは次のライフステージへの移行を視野に入れた作業療法アプローチは,相応の経験がなければイメージしがたいであろう.したがって,「ライフステージ」をキーワードとした本特集において,高次脳機能障害児・者支援の最前線で活躍中の先生方の経験に学ぶ機会を得られたことは,望外の喜びである.
総論では,高次脳機能障害児・者に対する理解と支援に関する情報,および作業療法の視点について述べた.5つの異なるライフステージを取り上げた各論では,各ライフステージで高次脳機能障害児・者が直面する課題を踏まえたうえでの作業療法アプローチ,そしてそれを構成する執筆者の治療的戦略が,緻密かつ的確に記されている.本特集を通して,人生がライフステージの連続によって醸成される発達の過程であることを感じていただければ,高次脳機能障害児・者の“これから”を見つめる眼差しも変化するのではないだろうか.
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