増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第4章 支援技術Ⅲ 生活期:生活の広がりに向けて
17 脳卒中者の終末期における作業療法の役割と支援の実際
長坂 真由美
1
Mayumi Nagasaka
1
1甲府城南病院
pp.984-988
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202651
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
終末期リハについて,太田1)は「最期まで人間らしくあるよう医療,介護,介護と共に行うリハビリテーション活動」と定義し,「生物(動物)としての人間として」ではなく,「尊厳ある人間として」扱われているかどうかが問われると述べている.たとえば,がんの終末期では,死亡に至るまで比較的長く生活機能を維持し,生活機能が低下してから死に至るまでの時間は比較的短い傾向を示す2).しかしながら,脳卒中者の終末期では,脳損傷の後遺症として運動麻痺や感覚障害,高次脳機能障害が残存し,その経過の中ではさまざまな内科疾患も重複し,廃用症候群等の二次的障害の発生もみられる.意識レベルが低下し,いわゆる“寝たきり”といわれる要介護状態のまま,比較的長い経過をたどる対象者に対し,「何をしたいか」,「何を伝えたいか」,対象者本人の意向や希望を直接聞き取ることは難しく,OTとして実際にどのような支援を行ったらいいのか迷うことが多い.
今回,20年以上前に脳卒中を発症した後,再発や肺炎等の経過をたどり,終末期を迎えた対象者に対して,知覚-運動の視点から対象者を理解し,介入を行った.終末期における作業療法の一例として報告する.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.