増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
1 —How toタッチ⑤拘縮・短縮—肩関節における頭頸部と体幹の関連性
川下 勇太朗
1
Yutaro Kawashimo
1
1ふじみ野 介護老人保健施設ベテラン館
pp.783-786
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202606
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はじめに
拘縮は「皮膚や骨格筋,腱,靱帯,関節などの関節周囲軟部組織の器質的変化に由来した関節可動域制限」と定義1)されている.また関節可動域制限は,痙性による筋収縮や拘縮,強直,偏位等,さまざまな原因で発生するが,改善が期待できるものは筋収縮と拘縮であるとされている1).骨格筋の活動は神経系の働きによってコントロールされており,拘縮・短縮は,上位運動ニューロン損傷による痙性等の神経原性要素と,発症後の不動,画一的な代償に伴う皮膚の粘弾性の低下等の非神経原性要素により生じる2).これらの影響により,ADL低下は拘縮・短縮が関連する.
肩関節は,上腕骨,鎖骨,肩甲骨で構成され,肩甲上腕リズムが働き,ADL上多様な動作を可能にする.肩甲骨は骨格筋に支えられ,姿勢の影響を大きく受ける.重度片麻痺では上記の要素から姿勢の保持が難しくなり,その肩関節をみる際には上肢機能を効率的に働かすために,上肢,頭頸部,体幹の関係に着目する必要がある.今回は,重度片麻痺者の協力を得て,介入と評価ポイントをまとめる.
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