増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
1 —How toタッチ④浮腫手—脳卒中後の手の浮腫
藤原 謙吾
1
Kengo Fujiwara
1
1長崎リハビリテーション病院
pp.778-782
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202605
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
脳卒中では,麻痺側の手や足の局所に圧痕性浮腫が発生することがある.脳卒中後の手の浮腫は,慢性期脳卒中患者の37%,急性期脳卒中患者の18.5%に発生すると報告1,2)されている.この浮腫の要因は,運動麻痺によって血管透過性が亢進しているのではないかとされているが,運動麻痺がどのように血管に機能的障害を与えているのか明らかになっていない3).また,脳卒中の場合,全身状態を把握するために,血液データから電解質異常の有無や腎臓,心臓等の内臓系の状態を把握し,何由来の浮腫なのかを分析する必要がある3).
この浮腫に対してさまざまな介入報告があるが,確立した方法は見つかっていない.しかし,この麻痺側の手の浮腫をそのままにしていると関節拘縮や疼痛等の二次的障害につながり,日常生活で麻痺側の手を使う頻度が減少し,手の機能がさらに低下する.そのため,浮腫を軽減させて日常生活で麻痺側の手を使用できるように支援していくには,OTの介入のみならず,医師,看護師,介護福祉士,PT,ST等や家族を含めたチームアプローチ,いわゆる多職種協働が必要になる.今回,脳卒中後の手の浮腫の病態と評価,介入を事例を交えて解説する.また,脳卒中後の手の浮腫の起因の一つである複合性局所疼痛症候群は,さまざまな症状の歴史的な背景も含めて解説する.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.