増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
1 —How toタッチ②痙縮—痙縮の捉え方と作業療法
森園 亮
1
,
林 克樹
1
Ryo Morizono
1
,
Katsuki Hayashi
1
1誠愛リハビリテーション病院
pp.767-772
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202603
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はじめに
われわれの適応的行動は,自己身体と身体周辺空間や記憶情報を基に上位中枢により統合処理され,脳幹や脊髄,いわゆる実行系に働きかけることにより,筋緊張や反射を制御することで実現されている.しかし脳卒中等の上位中枢神経疾患の患者は,状況に適した情報の選択と統合,またその情報により生成させる運動・行動プログラムの障害により,脳幹や脊髄の実行系(網様体脊髄路,前庭脊髄路,視蓋脊髄路)を適切に制御できなくなっている.そのため目的や状況にそぐわない異常な筋緊張と筋緊張を背景とした不適切な姿勢や運動パターンが出現する.また,これらの筋緊張の制御,特に痙縮に伴う筋緊張の異常は単なる姿勢や運動障害にとどまらず,脳内身体表現(身体図式)1)や身体周辺空間と環境への知覚と認知に影響を及ぼし,リハによる機能回復にとって重大な問題となる.しかし,その対処と治療についての具体的な方策が十分提示されていないのが現状である.
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