連載 この分野を知る糸口
痙縮の治療
正門 由久
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
キーワード:
痙縮
,
動作解析
,
マネージメント
Keyword:
痙縮
,
動作解析
,
マネージメント
pp.820-821
発行日 2007年8月10日
Published Date 2007/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101023
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痙縮とは,上位運動ニューロン症候群による病態の一つである.痙縮をはじめ,痙性ジストニア,病的共同運動などの陽性徴候や巧緻性の低下,筋力低下,麻痺といった陰性徴候および筋の粘弾性の変化など,さまざまな運動障害が生じ,ADL(activities of daily living)の低下,歩行障害などの能力障害が引き起こされることから,そのマネージメントは,リハビリテーションの分野において非常に重要な問題である.ADL,歩行障害,上肢機能および巧緻性の改善や介助量の軽減などを目標に,リハビリテーション,神経ブロック,抗痙縮薬の投与,手術療法などさまざまな治療が行われるが,これらの治療方法の選択にあたっては,個々の患者の問題と治療目的に合わせて,その手段をいつ講じるのかを検討し,適切に組み合わせて用いることが重要である.
治療の目的は,病態の過程を断ち切ること,すなわち,陽性徴候としてのクローヌス,屈筋および伸筋のスパズム,痙性ジストニア,病的共同運動パターン,病的同時収縮などの望ましくない過剰な筋活動を抑制し,さらには筋の短縮および拘縮を予防または軽減することにより,患者の機能障害や能力障害を改善することである.
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