提言
精神科作業療法を医学生に伝える,ということ
堀田 牧
1
Maki Hotta
1
1大阪大学大学院精神医学教室
pp.524-525
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202525
- 有料閲覧
- 文献概要
私たちはチーム医療という言葉をよく耳にするし,口にもする.チーム医療とは「一人の患者に複数のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して,治療やケアに当たること」と,チーム医療推進協議会では謳われているが,その定義を知らなくてもOTとして医療・介護・福祉・教育・行政等,各分野で職務に当たっているのであれば,私たちは少なくともチーム医療の一端を担っているはずである.また,専門チームの一員として迎え入れられているのであれば,「OTは何者か」,「作業療法とは何なのか」についても,当然,チーム内でその専門性を含めた理解を得られているはずである.
一方,OT自身が作業療法の真価について自覚する瞬間はいつであろうか.治療を提供した患者さんから感謝の言葉をいただくときか? それとも,長年苦労して取り組んでいた研究が世間に認められたときか? 「その瞬間」は,OTそれぞれの経験年数や職域での立場等,その時々のステージによって異なるであろう.私の場合であれば,「作業療法は知っているけど深くは知らない」という対象が,患者さんを介して作業療法に関心を示した,という手応えをつかんだ瞬間である.特に,その対象が将来医師になる医学生であったときは感慨一入である.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.