増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第2章 疾患別実践例
13 —認知症例(医療)—「一人暮らしを続けたい」若年性アルツハイマー病患者の社会参加と在宅生活支援を行った事例
堀田 牧
1
,
福原 竜治
1
,
池田 学
2,3
Maki Hotta
1
,
Ryuji Fukuhara
1
,
Manabu Ikeda
2,3
1熊本大学医学部附属病院神経精神科
2大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
3熊本大学
pp.867-872
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200664
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はじめに
若年性認知症(early-onset dementia:EOD)は発症年齢が40〜60代と若く,認知機能の低下による生活行為の障害がみられても,身体機能は維持されていることが多いため,65歳以上で発症する高齢認知症(late-onset dementia:LOD)患者に適したケアサービスは,EOD患者にとって最適ではない場合も少なくない.また,患者本人の病識の低下が顕著である場合も多く,患者と家族介護者に必要な介護サービスを導入する際に困難を伴いやすい.
熊本大学医学部附属病院(以下,当院)では,2009年(平成21年)より認知症専門外来を開設しているが,近年,65歳未満で発症するEOD患者の受診が増加傾向にある.われわれの認知症専門外来では,主に若年性アルツハイマー病(early-onset Alzheimer's dementia:EOAD)患者を対象とした,多職種によるデイサービス導入を見据えた外来集団プログラムを行っており,堀田はそのチームの一員としてかかわっている.
今回,病識低下が著しく,「今まで通り一人暮らしを続けたい」という希望をもつ独居のEOAD患者に対して,生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)を用いた外来集団プログラムへ導入した.本例ではプログラム終了後,若年性認知症コーディネーター,介護支援事業所,主治医,OT等,多職種にて支援を行い,試行錯誤を経て,子育てボランティアや得意な料理をしながら自宅で一人暮らしを続けることができた.EOAD患者に対する多職種協働の一例として紹介する.
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