Japanese
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特集 作業療法
精神科作業療法について
On the Psychiatric Occupational Therapy
井上 正吾
1
,
若生 年久
1
Shogo Inoue
1
,
Toshihisa Wakoh
1
1三重県立高茶屋病院
1Mie Prefectural Takajaya Mental Hospital
pp.90-98
発行日 1972年2月15日
Published Date 1972/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201849
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I.はじめに
精神障害者の医療については,地域精神医療のめざましい発展への努力にもかかわらず,現在はいまだ病院精神医療が中心的役割を演じている。そのうちでも精神療法を中心とした精神療法的接近と,薬物療法と,さらにここで述べる作業療法を中心とした広義の生活療法が三本の柱として重視されている。もちろん本題で述べるのは狭義の作業療法が重点ではあるが,生活指導やレク療法を含めた広義の作業療法との関係において述べられるべきであり,またこのさいにも精神医学的側面と同時に,医療技術的側面,さらに制度の側面からも,幅広い考察をすべきで,従来のような一側面からのみの接近では,この作業療法が真に患者のためのものにならないのみか,かえってそれを害する可能性もあることに心すべきであろう。
今までに日本の精神医学界で作業療法が正式にとりあげられ論じられた機会はあまり多くない。私の承知するところでは,呉秀三らによるもの,黒沢良臣らによる精神衛生研究所グループによるもの,江副勉らによる有志の研究,その後,西尾友三郎らによる作業療法研究グループの研究があり,また個々には技術的統計的研究も散見できる。
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