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Key Questions
Q1:認知症者の生活行為を分析する必要性とは?
Q2:認知症者のIADL,BADL障害の特徴とは?
Q3:認知症者の生活行為障害と残存する(維持されやすい)工程の特徴は?
はじめに
厚生労働省が掲げる新オレンジプランでは,「認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」とされ,地域における認知症者の在宅生活を促進している.それゆえ,認知症者の在宅生活を少しでも長く継続させるためには,本人の認知機能および生活行為の評価を行い,生活に必要とされる社会支援やリハを提供・指導することが重要となる.医療保険や介護保険を利用した訪問系サービスは,本人の自宅に医療・介護の専門職が赴き,実際の住環境におけるADLを評価し,見いだされた生活課題に対して,本人の認知機能に応じた介入を立案・実施するため,現実的な支援方法である.
病院外来や通所系サービス所においても,普段の病状や生活実態は,本人の診察と評価および同居家族からの情報提供を頼りにおおむね把握することは可能である.しかし,詳細な生活の実態把握となると,外来や通所利用時による生活行為の評価や課題設定には限界が生じる.そこで,認知症者の生活行為の特徴や詳細な観察(分析)知見を集積することで,在宅生活での観察視点をイメージしやすくし,外来や通所利用時においても,訪問系サービスと同質の生活行為の評価やADL指導を行うことができる可能性について検討する必要があると考えた.
われわれは厚生労働科学研究費補助金長寿科学政策研究事業「生活行為障害の分析に基づく認知症リハビリテーションの標準化に関する研究」〔2015〜2017年度(平成27〜29年度)〕1〜3)に分担研究者として参画し,認知症者の生活行為工程分析表(Process Analysis of Daily Activity for Dementia:PADA-D)の開発を行った.本稿では,認知症者の生活行為の障害と残存能力(維持されている機能)の特徴について,この研究事業の内容を中心に概説する.
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