増刊号 認知症と作業療法
第1章 認知症とは
10 —認知症の診断と治療⑥—前頭側頭型認知症(FTD)の症候学と非薬物療法
堀田 牧
1
,
村田 美希
1
,
吉浦 和宏
1
,
福原 竜治
1
,
池田 学
1
Maki Hotta
1
,
Miki Murata
1
,
Kazuhiro Yoshiura
1
,
Ryuji Fukuhara
1
,
Manabu Ikeda
1
1熊本大学医学部附属病院 神経精神科
pp.603-609
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200262
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年,OTが認知症患者にかかわる場面は,精神科や神経内科系の医療機関や高齢者施設のみならず,身体領域を専門とする医療機関にも広がってきている.一般に,認知症の症状は,認知機能障害と認知症の行動および心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に分けられ,多くの認知症は記憶障害等の認知機能障害で発症する.しかし,本稿で解説を試みる前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia:FTD)は,主として性格変化や行動障害が病初期から顕著にみられる大脳変性疾患で,多くは50代後半〜60代前半の初老期に発症する.介護職のみでは対応が困難な例も多いことから,専門職としてOTがFTD患者にかかわる機会は増えている.そこで,OTはFTDの疾患特性を十分理解し,患者を適切に評価したうえで,維持されている機能を活かした作業療法を行うことが重要となる.本稿では,FTDに特徴的な精神症状や行動障害を中心に解説を行い,作業療法における介入方法について述べてみたい.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.