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特集 脳腫瘍と作業療法
脳腫瘍周術期の作業療法の進歩と未来
Progress and future of occupational therapy in perioperative management of brain tumors
櫻井 卓郎
1
,
堀川 真由弥
1
Takuro Sakurai
1
,
Mayumi Horikawa
1
1国立がん研究センター中央病院
pp.237-241
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202433
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Key Questions
Q1:脳腫瘍周術期の作業療法評価とは?
Q2:脳血管障害の作業療法との違いとは?
Q3:患者,家族,医療従事者が共感できる場とは?
はじめに
脳血管障害の作業療法教育は養成校,そして卒後教育に至るまで充実しており,情報量・教材とも豊富である.一方で脳腫瘍については,「脳血管障害の作業療法と似ている」という認識が一般化しつつあり,卒後教育は各施設や個人の努力に委ねられているのが現状である.
脳腫瘍に対する作業療法実践を知る手がかりとして,これまでの日本作業療法学会の演題内容を渉猟してみると,実に興味深いことがわかった.2006〜2017年(平成18〜29年)の期間で「がん関連演題」は288演題あり,がん種類別で最も多かったのは乳がん(28%),次いで脳腫瘍(12%)であった1).また,第52回日本作業療法学会(名古屋,2018)では,脳腫瘍に特化したセミナーが開催され,約150名の参加があったことは記憶に新しい.さらに2017年には「専門作業療法士(がん)」(日本作業療法士協会)が新設され,そのカリキュラムの中に「原発性脳腫瘍・転移性脳腫瘍と作業療法」が90分の講義として位置づけられている.
以上のことから,日本のOTは少なからず脳腫瘍の臨床に従事しており,その関心は高まっている.本稿では当院の脳腫瘍周術期における作業療法の実践を解説するとともに,われわれOTの役割について考察する.
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