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Key Questions
Q1:希少がんとは?
Q2:四肢のサルコーマ,グリオーマを評価するには?
Q3:希少がんの作業療法に求められることは?
はじめに
がん対策基本法(平成18年法律第98号)に基づいて策定される「がん対策推進基本計画」1)が2017年(平成29年)10月に変更され,「がんのリハビリテーション」と「希少がん,難治性がん」がそれぞれ独立した項目に位置づけられることになった(図1).この両分野にまたがる「希少がん領域におけるリハビリテーション」については,これまで極めて報告が少ない.
希少がんとは「新規に診断される症例数が10万人あたり年間6例未満のがん」と定義されている(「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」より).主要5大がん(肺がん,大腸がん,乳がん,胃がん,子宮がん)である肺がんは,新規に診断される症例数が10万人あたり年間200人程度であることからすると,希少がんの希少性がイメージできる.その希少がんには200種類近くもの異なるがんが含まれており,その内訳は,肉腫(サルコーマ),悪性脳腫瘍,悪性黒色腫,網膜芽細胞腫,中皮腫,神経内分泌腫瘍等,実に多岐にわたる2).
国立がん研究センター中央病院(以下,当院)は578床のがん専門病院であり,作業療法部門は2010年(平成22年)11月に開設された.OTの配置数は1名〔2018年(平成30年)1月現在〕で,極めて希少な職種である.全診療科を対象としているが,骨軟部腫瘍や脳腫瘍の周術期への介入が大半を占めている(図2).
『がんのリハビリテーションガイドライン』3)では,原発性骨軟部腫瘍に関するCQ(Clinical Question)項目は全62CQ中2項目で紹介されており,いずれも推奨グレードはC1(行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない)となっている.脳腫瘍に関する項目は,原発性・転移性の区別はなく推奨グレードはB(行うよう勧められる)となっている.希少がんの中では,骨軟部腫瘍と脳腫瘍,頭頸部がんがガイドラインに取り上げられている.
当院作業療法部門の主要な実践領域である骨軟部腫瘍と脳腫瘍(主にグリオーマと中枢神経系原発悪性リンパ腫)の実践状況について紹介する.
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