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特集 刑務所から地域で支える更生保護へ—いま作業療法士に求められていること
—実践レポート5—通報されることがあるも触法行為に至ることなく地域生活を送れている事例
Cases of people living in the community that may be reported but without violating the law
川口 眞由
1,2
Mayu Kawaguchi
1,2
1株式会社彩ReLIFE 訪問看護ステーション カンタービレ
2播磨社会復帰促進センター
pp.151-155
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202403
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Key Questions
Q1:訪問看護ステーションの役割とは?
Q2:地域生活で生活を続けるためには?
Q3:働くことから得られることは?
はじめに
65歳以上の高齢者の刑務所入所受刑者数は,2018年(平成30年)は2,222人で,1989年(平成元年)と比べ約7.1倍に増加している.特に70歳以上の受刑者が増加しており,1989年と比べ約13.3倍に増加した.2018年の全入所者のうち65歳以上の高齢者は12.2%を占める1).
精神障害者等の刑務所入所受刑者数は,1989年では総数2万4,605人のうち760人(3.1%),2018年では総数1万8,272人のうち2,733人(15.0%)と約5倍にも上る2).
これらから高齢者・精神障害等の受刑者が全受刑者の約27%を占めることがわかる.筆者は訪問看護ステーションで働くかたわら播磨社会復帰促進センター(官民協働で運営する刑務所)にも身を置いている.日々の業務の中で,高齢者や精神障害,知的障害の受刑者に多く見受けられるのは,地域社会から孤立し,医療や必要な福祉サービス等につながっていないケース,もしくは医療や福祉サービスにつながっていても本人が望むような生活が送れていないケースである.
医療や福祉サービスにつながらず地域社会から孤立した受刑者が世の中に多い中,今回は表題の通り,被通報歴があるも触法行為に至ることなく,本人に合った福祉サービスが提供され,各事業所が連携し合った結果,現在も落ち着いて地域生活が送れている事例を紹介したい.本人には今回の掲載に関して同意を得ているが,通報内容等の詳細は伏せて紹介する.
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