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Key Questions
Q1:末梢神経電気刺激とはどのような治療方法か?
Q2:末梢神経電気刺激のevidence based practiceにはどのようなプロセスが必要なのか?
Q3:末梢神経電気刺激療法における今後の臨床課題とは?
はじめに
従来,脳卒中患者の運動障害に対する物理療法として,神経筋電気刺激や機能的電気刺激が行われてきた.これは,電気刺激により運動神経を脱分極させることで目的とする筋群を収縮させ,機能的運動を再学習するために実施される.本邦の「脳卒中治療ガイドライン2015」1)では,神経筋電気刺激や機能的電気刺激は高いエビデンスがある治療法として推奨されている.しかし,これらの方法は関節運動を起こす運動閾値以上の刺激のため,痛みや筋疲労が生じる等の問題点が指摘されている2).
そこで近年,新たな試みとして末梢神経電気刺激(peripheral nerve stimulation:PNS)を利用した治療法が注目されている〔研究によってはsensory electrical stimulation(SES)やtranscutaneous electrical nerve stimulation(TENS)と表されることもある〕.これは,上下肢の末梢神経から感覚,あるいは運動閾値程度の電気刺激を長時間行うことで,大脳皮質の可塑性変化を期待するものである.PNSは,先行研究通りの刺激パラメータで実施しようとすると,機器による若干の制約はあるものの,痛みや疲労も少なく,かつ運動療法と併用しやすいという大きな利点がある.本稿では,PNSの理論的背景を述べた後に,実際の症例にどのように臨床適応するかをEBPのプロセスに則って解説したい.
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