わたしの大切な作業・第32回
多々ますます弁ず
辻 真先
pp.1357
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202329
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生まれつきおしゃべりだったわけではないが、開局早々のNHKテレビに就職して様変わりした。制作・演出ひとりでこなさねばならないから、黙っていてはなにも進まない。ドラマはすべて生放送の時代である。いつも時計の針に追われる仕事で、ついつい早口になる。公開番組の場合は前説と称して、大勢の観客の前でおもしろおかしくしゃべり散らして、座を賑やかに盛り上げねばならない(そういう仕事も演出にはあるのです)。
おかげさまで、武道館で1万人の客を相手にして平気なほど、度胸がついた。群集場面の演出に声を枯らすなんて大変な作業量だが、得られるカタルシスもすばらしい。
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