入門講座 身近なツールを治療に活かす・3
電気刺激装置
生野 公貴
1
Koki Ikuno
1
1西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
キーワード:
電気刺激
,
経皮的末梢神経電気刺激
,
神経筋電気刺激
Keyword:
電気刺激
,
経皮的末梢神経電気刺激
,
神経筋電気刺激
pp.271-277
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201486
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
物理療法における電気刺激療法は,「理学療法士及び作業療法士法」第2条に規定されているとおり,理学療法の根幹となる手段の1つである.物理療法の歴史は大変古く,非侵襲的で安全性も高く,定量的な物理的エネルギーを確実に生体に与えることが可能という点で臨床現場に広く利用されている.しかしながら,対症療法のような実施や効果判定が経験主義的に行われてきた背景もあり,物理療法は衰退の一途をたどっていた過去がある.
2008年に実施された日本リハビリテーション医学会関連機器委員会による253施設の実態調査では,電気刺激装置である低周波・干渉波の所有率は90%を超えており,所有施設のうち「非常によく使用」および「よく使用」と回答した施設が約半数であった.しかしながら,電気刺激装置の有効度に関して「非常に有効」と回答した施設は10.2%にとどまっている1).効果を十分に発揮できていない,あるいは効果を実感できていない背景には,電気刺激装置の特性を十分理解できておらず,患者が呈するさまざまな症状や病態,障害に対して適切な用法で実施できていないことが考えられる.
本稿では,電気刺激の基礎と電気刺激の生理学的作用の理解を深め,臨床上よく活用される鎮痛のための経皮的末梢神経電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS),筋力増強のための神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation:NMES)について,刺激パラメータがもつ意味に重点を置いて解説する.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.