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特集 脳性麻痺児者への作業療法—現在,過去,そして,未来を拓く
脳性麻痺児の臨床病態生理—痙縮およびジストニアへの治療
Clinical pathophysiology of child with cerebral palsy: Managements for spasticity and dystonia
鈴木 恒彦
1
Tsunehiko Suzuki
1
1大阪発達総合療育センター
pp.110-116
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201995
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Key Questions
Q1:最近の脳性麻痺の病態生理の重要な原因は?
Q2:脳性麻痺の病態で,筋緊張が強まってくる原因は?
Q3:エビデンスに基づく脳性麻痺治療の問題は?
はじめに
周知のように脳性麻痺(以下,CP)の早期発見,早期治療が叫ばれた1980年代のわが国のCP発生率は1,000の出生に対して1.5〜2.0人であったが,最近の発生率は2.5人以上であり1〜3),欧州でも同じようである4).さらに米国でも3.0人以上と増えつつあり5),比較的ポピュラーな疾患群となってきている.しかしCP発生率を論ずる場合,各国のCPの定義が異なるため慎重を要する.
2009年(平成21年)から開始されたわが国の産科医療補償制度のデータでは,CPの発生数は減少傾向にあると報告があり,本制度上の再発防止への努力の成果が数値に表れたとされている.ちなみにわが国のCPの定義は1968年(昭和43年)のものが現在も用いられることが多く,国際的定義として合意された2006年のCPの定義6)と大筋では一致している.ただ国際的傾向として,周産期医療の進歩と母子保健の発展によって,早産・未熟児の救命率が格段に向上した結果,発達が未熟な生態のままで地球環境に適応しなければならない出生児が増加している.このためNICUを含む出生後の育児管理によっては,今後のCPの発生率に影響することが考えられる.
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