Japanese
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特集 ジストニア update
4.ジストニアの病態生理
Pathophysiology of Dystonia
村瀬 永子
1,2
Nagako Murase
1,2
1徳島大学医学部神経情報医学分野
2現 国立病院機構宇多野病院神経内科
2Department of Neurology, National Hospital Organization Utano Hospital
キーワード:
sensory-motor integration
,
disinhibition
,
basal ganglia
,
premotor cortex
,
motor loop
,
sterotypies
,
matrix
,
striosome
Keyword:
sensory-motor integration
,
disinhibition
,
basal ganglia
,
premotor cortex
,
motor loop
,
sterotypies
,
matrix
,
striosome
pp.957-972
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100096
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はじめに
ジストニアとは,持続的な筋緊張により起こる,異常な反復性あるいは捻転性の運動,あるいは異常な姿勢をきたす運動異常症の総称である。基礎疾患が明らかでない特発性のものと,基礎疾患から二次性に生じる症候性のものが存在する。症候性ジストニアの研究から,病変部位は基底核や視床と考えられた。その後電気生理学や画像所見の多岐にわたる知見から,一次感覚運動野や非一次運動関連領域,脊髄・脳幹を含む広範囲な機能異常が指摘された。これらを統合的に理解するためには,基底核や視床を中心とした運動系ループの概念が必要である。しかし,定位脳手術の術中記録から得られた結果は,従来の運動系ループで提唱される,直接路・間接路における興奮・抑制のpush-pullだけでは説明できない点も多い。ジストニアにみられる動作特異性や常動性,感覚運動連関を説明するには,運動系ループのさらに複雑な調節システムを解明していく必要がある。本稿ではまずジストニアの症状と特徴を概説し,次に電気生理学的および神経画像の知見から各系統での異常を解説し,最後に運動系ループを通した全体的理解を提示する。
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