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Key Questions
Q1:復旧のためにOTが行った活動・支援とは?
Q2:被災地の現状はどうなっているか?
Q3:OTができる復興支援・街づくりへの貢献とは?
はじめに
東日本大震災から2年半が経とうとしている.この間に被災地では,復興に向けたさまざまな動きが続いている.筆者は,津波被害を受けた町の隣の市に住んでいる.最近の通勤の朝は,津波被害を受けた海岸線工事車両で渋滞が激しくなっている.国土交通省や林野庁といった,山から土を積む大型トラックが始動する時間と出勤時間が重なっているのだ.渋滞の中に身を置きながら,このトラックがどれほど行き来したら,沿岸線工事は終了するのだろうかと砂埃が舞う国道で考えている.
このたびの東日本大震災の経験は,これまでの災害の概念を超えるものになった.地震ばかりでなく,津波,原発事故という二次的,三次的,そしてそこからくる風評被害も含めれば,限りない影響が出ており,被害の範囲として同定することも難しい状況がある.
筆者は被災地に暮らし,この震災とその後の変化を身近なものとして体験してきた.発災直後は,自宅での生活も,職場の業務もこれまでに経験したことのない状況が続いていた.現在は一見被災前の日常が取り戻されたように日々の暮らしが続いている.しかし,多くの人々の生活が一変し,その後の生活は筆舌に尽くしがたいものとなっている.家族を失い,住む場,職場を失う等,大切な方や大切なものを失った方々の悲しさは,数年の単位では薄れることがないと感じる.
予想を超えた災害は,復旧・復興も予測を超えたものになっており,計画が立てられない,立てても思うように進まない状況があるように思う.
この特集を組む1年ほど前には,震災・復興に関して少し客観的に整理できる時期になっているのではないかと思っていた.しかし,そうではなかった.復興とは,被害を受けた状態から元の状態に立て直していくことであるが,今回は被害があまりにも大きいので,元の姿に戻すことなど到底できないことが今さらのように現実化してきている.あの日を境に,生活が一変し,その生活は元に戻ることを求めてはいけない,別の道を行くことを強いている.その道がいまだみえない状況で,仮の生活だと思いながら2年半を生きてきている.この先,どうなるのか,どのようにしたいのかさえも答えが見いだせない人も多くいるのではないかと思う.
本稿では,まず被害状況と復興支援の国の動きを概観する.そして,被災地の2年半後の生活を紹介し,私たちが復興に向けた道のりでできることを考察する.
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