増刊号 精神科作業療法
第1章 総論
2 精神科作業療法のこれから
香山 明美
1
Akemi Kayama
1
1東北文化学園大学
pp.733-739
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202171
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はじめに
「理学療法士及び作業療法士法」1)において“「作業療法」とは,身体又は精神に障害のある者に対し,主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため,手芸,工作その他の作業を行なわせることをいう”と定義されている.日本作業療法士協会(以下,OT協会)では,作業療法における最近の対象者の広がり,対象者にとっての意味ある作業を提供していく使命等が強調され,2018年(平成30年)5月26日の社員総会において,新しい定義「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である」が承認された2).2つの定義から,作業療法は作業に焦点を当て,対象者の応用的動作能力や社会的適応能力の回復や促進を図るため,援助,指導を行うものといえる.
本稿では,近年の精神保健医療福祉の歴史的変遷からの学びを整理し,上記の定義も踏まえ,これからの精神科領域においてOTが果たすべき役割を,いくつかの視点で考察する.
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