増刊号 スポーツがもつ可能性—作業療法への期待
第2章 身体障害とスポーツ
8 上肢欠損児に対する運動・体育支援
柴田 八衣子
1
Yaeko Shibata
1
1兵庫県立リハビリテーション中央病院
pp.795-801
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201787
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はじめに
欧米では,上肢欠損児に運動・スポーツや習い事のためにさまざまな作業用義手を製作している.また,彼らがそれを使用することで活動範囲が広がり,義手が社会参加の拡大やQOLの向上に寄与していることが報告されている1).
日本では,2014年(平成26年)に「障害者の権利に関する条約」2)が批准され,2016年(平成28年)年4月1日より「障害者差別解消法」3)が施行された.これにより,学校では,障害のある児童生徒等の性別,年齢および障害の状態に応じ,社会的障壁の排除のために,必要かつ合理的な配慮を提供することが義務となった.さらに,2017年(平成29年)より,厚生労働省が定める補装具費の支給基準4)では,障害者総合支援法の完成用部品の作業用手先具の中に,マット用(TRS SHROOMシュルーム タンブラー)や鉄棒用(TRS SWINGERスウィンガーTD)が追加された.
これらにより,上肢欠損児を取り巻く環境では,小児筋電義手や,学校体育で使用する運動・スポーツ用の作業用義手の特例補装具費支給の可否に注目が集まり,有識者の間で検討がなされている.
本稿では,これらの現状にOTとして応えていくために,主に先天性上肢欠損児が身体を動かす遊びや体育,習い事等,運動・スポーツ支援を行ううえでの基本事項と支援について紹介する.
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