書評
医療体育研究会 編―脳血管障害の体育―片麻痺者の体力評価とトレーニング
大田 仁史
1
1伊豆逓信病院
pp.57
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107778
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この本を読んでいていろいろ思い出した.
もう20年も前になるが,片麻痺のしかも失語症の患者さんたちと連れだってプールにいった.参加した片麻痺の人たちは病前は泳げる人ばかりだったが,皆犬掻きの出来損ないみたいで溺れているような格好になる.そのとき真っすぐ進まず麻痺のあるほうにくるくる回ってしまうのをどうしたらいいか,などをプールサイドで議論したが,なにせ言葉が不自由なのと付き添ったSTの中に泳げない者がいて結論を得られなかった.しかし二,三度行くうち皆うまくなった.その後,元気のいい何人かの片麻痺の患者さんが水泳をしてとても気持ちがよいという話を聞いた.感心するばかりで確信をもつてアドバイスしてあげられなかった.水泳だけでなく,片手でのゴルフに挑戦していろいろの道具を作った人もいる.ゴルフとまではいかないがゲートボールを片麻痺用にアレンジして大勢で楽しんでいるグループもある.このような人たちを知るにつけ運動機能にもっとも詳しい私たちが患者さんたちのスポーツについては知識が少なく,その可能性についてきちんとした指導をしていないことに改めて気付かされた.
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