講座 作業療法士が知っておくべき認知行動療法・第1回【新連載】
認知行動療法とは—全体像を理解する
大野 裕
1
Yutaka Ono
1
1大野研究所
pp.1332-1335
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201534
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はじめに
認知行動療法(認知療法ともいう)とは,私たちの気持ち(感情)が認知,つまりこころの情報処理のプロセスの影響を強く受けることに注目して,ストレスを感じたときの認知に働きかけてこころの負担を軽くし,問題解決を手助けする目的で開発された精神療法(心理療法)である.認知行動療法は,うつ病や不安障害/不安症等の精神疾患に対する治療法として開発され,その効果が実証されてきた.わが国でも,徐々にそうした臨床的エビデンスが報告されるようになっている1).そして最近では,職域や地域,学校等,さまざまな場面でのストレス対処法としても優れた成果を上げている2).
その理由は,認知行動療法が決して特殊なアプローチではなく,私たちが意識しないで行っている上手なストレス対処法を誰もが活用できるようにわかりやすくまとめたものだからである.だからこそ,認知行動療法は,精神医療に限らず他の医療場面や医療以外の場面で広く活用されるようになったといえ,OTにとっても有用なアプローチであると考えられる.こうした理解に立って,筆者は,リハに心理的アプローチを組み込むことで,より効果的に支援できる方法論を検討するためにOTが主体になって立ち上げた日本リハビリテーション・カウンセリング研究会に参加している.
そこで本稿では,まず認知行動療法の基本的な概念を説明し,その後,認知行動療法の定型的な進め方や技法について,その背景にある考え方を含めて紹介していくことにしたい.
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