Japanese
English
実践講座 認知行動療法・第1回【新連載】
認知行動療法入門
Cognitive behavior therapy.
大野 裕
1
Yutaka Ono
1
1国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
1National Center of Neurology and Psychiatry, Center for Cognitive Behavior Therapy and Research
キーワード:
認知行動療法
,
うつ病
,
インターネット
Keyword:
認知行動療法
,
うつ病
,
インターネット
pp.863-867
発行日 2014年9月10日
Published Date 2014/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110628
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
認知療法(認知行動療法)とは,人間の情緒が認知のあり方の影響を強く受けることに注目して,辛い気持ちになったときの認知に働きかけて心を楽にしたり,問題解決を手助けしたりする期間限定の構造化された精神療法である1).認知行動療法は,うつ病に対する精神療法として開発されたが,その後,不安障害を初めとするさまざまな精神疾患の治療法としてはもちろんのこと,日常のストレス対処を通した疾患予防や外来診療の支援などに用いられるなど,職場,地域,学校などで広く使われるようになってきている.
認知行動療法は,限られた期間内に1対1で定期的に行う定型的(高強度)認知行動療法と,科学的根拠に基づきながらより簡便な形で行う簡易型(低強度)認知行動療法に分けることができる.
定型的認知行動療法は,患者の主体性を尊重した温かく良好な治療関係のなかで,① 問題点を洗い出して症例の概念化を行い,治療方針を立てる,② 行動的技法を通して活動性を上げながら認知への気づきを高める,③ 自動思考に焦点をあて,その根拠と反証を検証することによって現実に即した柔軟な考えができるように手助けする,④ より心の奥底にあるスキーマに気づけるように手助けする,⑤ 面接終盤にそれまでの一連の面接を振り返り治療終結と再発予防に役立てる,と進めていく.定型的認知行動療法の特徴を表1に示した.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.