Japanese
English
特集 慢性疼痛とリハビリテーション
認知行動療法—日々のリハビリテーション臨床に役立てるための全体像の理解
Cognitive behavioral therapy for chronic pain:Understanding the overview for use in daily clinical practice of rehabilitation
細井 昌子
1
,
安野 広三
1
Masako Hosoi
1
,
Kozo Anno
1
1九州大学病院心療内科
1Department of Psychosomatic Medicine, Kyushu University Hospital
キーワード:
認知行動療法
,
随伴性マネジメント
,
自動思考
,
マインドフルネスストレス低減法
Keyword:
認知行動療法
,
随伴性マネジメント
,
自動思考
,
マインドフルネスストレス低減法
pp.499-504
発行日 2016年6月10日
Published Date 2016/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200620
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はじめに
うつ病の認知療法・認知行動療法1)は,2010年に保険診療で診療報酬が認められ(習熟した医師が1回あたり30分以上施行,16回まで算定可能),わが国における医療システムに導入されている.さらに2016年度の診療報酬改定では,看護師も参加することが可能となった.
慢性疼痛においても認知行動療法が有用であることは,国際的にもエビデンスが確立している.また,2015年9月に公認心理師法案が可決されたことで,慢性疼痛領域に対して,医師・看護師・心理士(心理師)による認知行動療法を病院医療に導入することは,医療効率的にも有用である2).
一方,慢性疼痛は患者本人に心身の苦悩をもたらすのみでなく,患者の生活障害が悪化することで,他の家族メンバーへの影響も甚大となる.生活障害の改善については,リハビリテーション領域の医療スタッフの活躍が大きい.医師の診察時間が短くなっている現状では,患者に直接触れて寄り添う時間が多いリハビリテーション領域の療法士が,認知行動療法について十分に理解していることで想定以上の効果が得られると考えられる.
本稿では,認知行動療法の種類を紹介するとともに,いわゆる第二世代の認知行動療法の構造化したシステム解説の前に,明日からの慢性疼痛患者のマネジメントに役立つであろう,日常の医療に導入しやすい第一世代の行動療法の考え方についても症例を交えて紹介する.
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