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はじめに
筆者(佐藤)は,宮城県仙台市において,児童福祉法に基づく障害児通所支援事業である多機能型事業所「ま〜ぶる・び〜と」を設立,児童発達支援,放課後等デイサービス(以下,放デイ),保育所等訪問支援を運営している.従業員総数9名のうち6名がOTであり,地方の単独事業所に複数のOTが在籍している全国的にもめずらしい施設である.
子育ての気になる段階からの切れ目のない継続的支援,そしてOTによる質の高い専門的な療育を,療育が必要とされている多くの子どもたちに提供する場をつくりたい,OTの活動領域の拡大,専門的な視点を地域に広めていきたい想いで,2015年(平成27年)2月に開所し,現在1〜18歳の子どもたちにご利用いただいている.日々子どもたち,保護者と触れ合う中で模索していることを述べたい.
私たちが対象としているのは,0〜18歳の,できること,できないことが多岐にわたる子どもたちである.子ども一人ひとり興味・関心が違い,いわゆるリハメニューは「こなさない」ような子どもたちである.子どもたちと一緒に私たちスタッフが考える,実行するために共通なことは,「ある物で,どう遊ぶか?」である.ダンボール,ペットボトル,ボール,お手玉等,家庭や保育所や幼稚園にもある身近な物を使って,その場にある物,空間,人でいかに創意工夫をしていけるかを,子どもたちと共に実践している.
通ってきている子どもたちの多くは,「その場,その時,その状態に合わせる」ことが苦手である.遊びという,曖昧で時間の流れの中でドンドン変化していくものに対し合わせていけることこそが,発達の土台づくり,コミュニケーションの基礎だと考えている.
弊社のコンセプトは,「いかに遊ぶか,遊びきるか」である.遊びは作業であり,科学であり,制作物である.常に遊びをクリエイトできることが,この仕事の醍醐味だと感じている.
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