連載 高次脳機能障害児を地域で育む—高次脳機能障害児のすこやかな未来づくりを願って・第1回【新連載】
ライフステージにあわせた課題と支援について—①発症年齢と原疾患について
太田 令子
1
1千葉県千葉リハビリテーションセンター
pp.52-55
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200526
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時間と空間の交点として地域リハを考える
地域リハビリテーションといわれるとき,多くの人は高齢期になって自立生活が困難になった人たちへの支援を思い浮かべます。これは急速に高齢化していく日本社会の人口構成の変化に伴い高齢者支援が大きな社会問題になっていたことが背景にあることは周知の事実です。ここで「地域」というのは,その人が住み慣れたエリアであると同時に,ともに住み暮らしてきた人や町や村の環境でもあります。一方「リハビリテーション」には,住み暮らしてきた時間も内包されていると思います。こうした観点で見ると,その土地で住み暮らしている高齢者から小児も含む幅広い年齢層が,地域リハビリテーション推進事業の対象となります。特に小児は,その土地で生まれ育っていく存在であり,地域という空間と育ちゆくという意味で時間の交点が刻々と変化していく典型的な存在であるといえます。
この連載では,こうした時間と空間の交点がどんどん変化していく小児の時期に,何らかの原因で高次脳機能障害という当事者からも周囲の人たちからも見えにくい認知機能に障害を負った子どもたちの実態と課題を紹介しながら,地域リハビリテーションの支援の対象として過去を踏まえ未来を見据えた切れ目のないサポートについて考えていただければ幸いです。
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