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Key Questions
Q1:超高齢社会におけるロボット技術の活用は?
Q2:介護ロボットとは?
Q3:現時点での上肢訓練支援ロボットの活用は?
はじめに
厚生労働省が発表した2016年(平成28年)人口動態統計によれば,脳血管疾患による死亡数は10.9万人と,悪性新生物,心疾患,肺炎に次いで第4位で減少傾向だが1),2014年(平成26年)の患者調査によれば,入院患者数は15.9万人と死亡数の上位3疾患を上回り第2位である2).さらに要介護状態となった主な要因をみていくと,第1位が認知症(24.8%),次いで第2位が脳血管疾患(18.4%),第3位が高齢による衰弱(12.1%)である3).要介護者の実に43.2%を上位2疾患で占めており,障害を減らすため,医療・介護の両面で多くの視点からリハのアプローチが求められている.
また超高齢社会により,2016年10月1日時点で65歳以上の高齢者人口は3,459万人となり,高齢化率も27.3%となった.今後,団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年には,高齢化率が30.0%に達すると予測されており,1.9人の生産世代(15〜64歳)が1人の高齢者(65歳以上)を支える時代となる見込みである4).高齢者が多くなれば,何らかの疾病に罹患する割合も増加し,医療や介護・福祉を必要とする対象者は確実に増加する.その一方で生産世代人口は少子化のため減少し,医療や介護・福祉を担う者は相対的に不足することが予測される.より少ない人員で膨大な需要の対応に迫られれば,個々の負担はさらに大きくなり提供するサービスの質が低下し,社会の破綻を招く.以上のような困難な状況を打開する一案として,人的資源の不足による肉体的・精神的負担の軽減が期待でき,対象者の自立支援の促進が期待できるロボット技術の活用が期待されている.
ロボット技術を活用した産業への関心は,2015年(平成27年)に経済産業省が公表した「ロボット新戦略」5)以降,国の施策である「ニッポン一億総活躍プラン」6),「日本再興戦略2016」7),「未来投資戦略2017」8)等に明記される等,高まりをみせている.本稿では,ロボット技術の中でも近年クローズアップされている「介護ロボット」について,通常の文献検索のほかに,インターネットや企業のパンフレット等からの情報を含めて代表的なものを紹介する.また筆者らが2000年代前半より臨床研究を進めている「訓練支援ロボット」の1つである上肢訓練支援ロボットについて概説する.
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