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Key Questions
Q1:小児がん・AYA世代がんの疫学と診療体制の課題とは?
Q2:小児がん・AYA世代のがんの特徴・課題とは?
Q3:作業療法の今後の展望とは? 5カ年戦略を考える
はじめに
わが国において,がんと新たに診断される人は年間100万人以上になる.生涯でがんに罹患する人は2人に1人といわれ,今や「国民病」となっている1).男女ともに50代くらいから増加し,中高年のがんは標準的治療が確立し,5年生存率から10年生存率へと治療成績は伸びている.
15歳未満で発症する小児がんは,年間1,500〜2,000例程度と推計され,がん患者全体の0.2%に過ぎない.近年の小児がん医療の目覚ましい進歩により,集学的治療や多施設共同の臨床試験が進展し2),治療後の5年無病生存率は80〜90%と向上している3).
思春期・若年成人(adolescent and young adult:AYA)世代とは,さまざまな定義があるが,本稿では15〜39歳までを示す.年間4,000〜5,000人程度が発症し,全年齢のがんの約0.6%であり2),小児がん患者の約3倍と推測されている.米国においては,この世代の患者数が年間6万9,000名とされ,小児がん患者数の約6倍であると報告4)されている.
AYA世代のがん患者は,「発達段階に関連する生物学的・心理社会的特性が示唆されているにもかかわらず,支援が不十分」5)であり,近年AYA世代のがん患者に対するライフステージに応じた支援の必要性が論じられ,さまざまな試みが国際的に活発になってきている.
本稿では,当院が,がん診療連携拠点病院,小児がん拠点病院であることを踏まえ,小児・AYA世代のがんの特徴を述べ,リハ領域では報告の少ないAYA世代における作業療法と今後の展望について述べる.「小児・AYA世代の緩和ケア」については非常に過酷な現実があり,紙幅の都合から,別の機会をもちたい.
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