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特集 緩和ケアを通じてみる作業療法の世界
緩和ケアを通じてみた難病の作業療法の実践
Practice of occupational therapy for intractable diseases through palliative care
小林 貴代
1
Kiyo Kobayashi
1
1森ノ宮医療大学
pp.891-896
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201027
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Key Questions
Q1:進行性疾患(難病)におけるOTのかかわりとは?
Q2:OTの役割と具体的な支援とは?
Q3:小さな困り事を解決するOTの専門的技術とは?
はじめに
緩和ケアとは,特定の疾患,特にがんにおける終末期医療の苦痛緩和目的のケアとしてのイメージが浸透している.しかし,わが国における難病の緩和ケアは,終末期の特定のケアを示すのではなく,医療的な症状管理のみにとらわれず,発病が喪失体験のはじまりではなく,新たな生活のはじまりであると受けとめられるようなナラティブの書き換えが,本人と共に行われるケアのことを意味する(図1).書き換えるためには問題を解決できる専門的な手段や技術が求められ,医療的ケアのもとで行われる安全な対応が必要である.
難病とは,原因がわからず,治療法も確立していない病のことをいう.診断が確定するまでにも多くの検査や時間を要し,原疾患発症の現病歴がわかりにくい場合も少なくない.確定診断後も,ほっとする間もなく,治療に関する情報や対応の少なさに現実の厳しさを知る.予後に関する告知を受けた後は,生命やQOLに関する選択を迫られる.家族と共に,大きな課題を病状の進行状況に伴い背負うこととなる.本稿では,難病の緩和ケアにおける専門職種としてのOTのかかわりや役割について,神経筋難病の筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)への実践経験を通して考えたい.
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