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特集 脳のシンポジウム
主題—情動と自律神経・内分泌機能
定位手術を通じてみた視床下部と情動
Emotion in the Light of Experiences of Stereotaxic Surgery of the Hypothalamus
佐野 圭司
1
Keiji Sano
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, University of Tokyo
pp.157-163
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903119
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情動emotionは文字通りわれわれを「動かす」一ある行動にかりたてる。その行動が世間をさわがしたり,他人に迷惑をかけるようなものでなければよいが,そういうものである時は問題となる。そのようなもののひとつに狂暴症とか,violent bchavior,aggressive behavior,rage attackなどと呼ばれるもの,およびその根底にある情動障害がある。すでに発表したようにその治療としてわれわれは種々の手術を試みて来た5)。そしてついに視床下部の後内側部に定位的に小さな損傷をつくるposteromedial hypothalamotomy(Sano,1962)がこの情動障害にもつとも有効であることを見出した5〜7,10,11)。
動物で視床下部を刺激したり破壊したりした実験は数え切れないほど多いが,人間におけるそれはまれであつて,Spiegcl & Wycis12)が分裂病の患者にdorso-medialthalamotomyに合併してsubthalamusの近くの外側視床下部に定位的損傷を作つた報告が目立つ程度である。しかしこの報告でも刺激効果についての記載はきわめて不十分である。われわれはこの点に関してもすでにいくつか発表して来ている3,8,9,11)が,本シンポジウムの機会に現在までの47例についての経験を要約してお話したいと思う。
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