増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第3章 疾患別 上肢・手の困難事例へのアプローチ—具体的介入例とポイント
19 —脳性麻痺②—思春期の脳性麻痺児の在宅でのプログラムの紹介—MACSⅣ-Ⅴの年長脳性麻痺児の自己制御能力に着目して
伊藤 直子
1
,
野本 文子
2
Naoko Ito
1
,
Fumiko Nomoto
2
1森ノ宮医療大学
2かなえるリハビリ訪問看護ステーション
pp.846-851
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201015
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はじめに
地域包括ケアの考え方や生活行為向上マネジメント等,活動・参加支援を軸にした在宅での作業療法が盛んになってきている.小児の作業療法は病院や施設での報告が多かったが,少しずつ訪問看護ステーションや児童発達支援,保育所等訪問支援事業等,地域での直接的支援の機会が増加しており,年齢や環境を考えた現実的で包括的な作業療法計画が求められている.自然環境(natural environment)で当事者の主体的な取り組みを支援するという視点から,今までみえなかった子どもや家族の想い,地域も含めた生活環境の評価や対策,将来を見据えた目標設定を共有できるようになってきた.これらは,より満足度の高い成果を効率的に得られるリハとして注目されており,脳科学の最近の知見からも支持されるものと考えている1,2).学童期に受験や身体的成長に伴う機能低下が生じて,上肢を実用的に使用できなくなったとしても,思春期に新たなライフステージに向けて,自らの意思で自分の将来のための準備を開始する中で,新たな手の役割を再獲得できる在宅での作業療法の可能性を感じている.
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