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はじめに
リハにおける電気刺激は,経皮的電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS)や機能的電気刺激(functional electrical stimulation:FES)等のように,痙縮の抑制や随意運動の促通,筋萎縮の予防,筋力増強等の目的で,従来から用いられてきた.しかし,対象者の意思に関係なく一定動作パターンで電気刺激が生成されるため,実際の動作への活用には適していなかった.一方,Khaslavskaianら1)は,随意収縮単独や電気刺激単独と比較し,電気刺激に合わせて随意収縮を行った場合のほうが皮質運動野の興奮性が有意に増加することを述べており,随意介助型電気刺激装置(integrated volitional control electrical stimulator:IVES)は,随意運動を介助する電気刺激パターンの生成が可能な装置として開発された2).
現在,国内ではIVES・IVES+(OG技研社)やMUROソリューション(パシフィックサプライ社)が販売されている.MUROソリューション(図1)は,刺激装置本体とケーブルおよび3つの電極,さらに電気刺激と筋電パラメータを調整するための親機から構成される.本体をアームケースに入れることで,上腕部に固定できるようになっている.電気刺激は,標的筋を動かそうとしたときに,その筋電量に応じて電気刺激が加えられ,随意収縮をやめれば刺激は軽減され,刺激強度,刺激時間は,患者自身の随意収縮によりコントロールされる.また,安静時には,閾値下の電気刺激が加えられるようになっている.さらに,電気刺激は,筋電をピックアップする電極から行われるので,的確に標的筋への刺激が可能である.そして,一度条件設定を行えば,本体に記憶させることができ,また小型で携行も可能である.
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