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要旨 【目的】脳卒中後運動失調はしばしば患者の日常生活動作(activities of daily living;ADL)の障害となる.今回われわれは脳卒中後の上肢運動失調に対する病側運動野への間歇性シーターバースト刺激(intermittent theta burst stimulation;iTBS)と,患肢前腕伸筋群に対する随意運動介助型電気刺激(Integrated Volitional control Electrical Stimulation;IVES)を用いた電気刺激の併用療法(ハイブリッド療法)の効果を検討した.【対象と方法】対象は片側運動失調を主症状とした慢性期脳卒中患者7例で,梗塞2例(視床,線条体・放線冠各々1例),出血5例(視床4例,被殻1例)であった.失調型は感覚性5例(全例で深部感覚障害が著明),小脳性2例(感覚障害なし)で,全例で麻痺はごく軽度であった.発症から治療まで126〜5,656日(中央値954日)であった.病側運動野へのiTBSは安静時運動閾値の80%強度で1日に4セッション,並行して患肢前腕伸筋群にIVESによる電気刺激を15分間,2セッション行い,これらを計10日間施行した.作業療法も継続した.評価は上肢基本動作,Stroke Impairment Assessment Set(SIAS),能動的関節可動域(Active-Range of Movement;A-ROM),Motor Activity Log(MAL),運動誘発電位(motor evoked potential;MEP),正中神経の体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential;SSEP),局所脳血流量などで行った.【結果】治療開始1〜2週後から握力や手指(示指や中指)のA-ROMの有意の改善を,ペグ操作・MALでは手の運動の巧緻性の有意の改善を認めた.SSEPでは著変なかったが,MEPでは軽度だが振幅増加と運動閾値の低下を認めた.有害事象はなかった.【結語】今回の併用療法は脳卒中後運動失調に対して有用な治療法になりうると考えられた.
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