提言
閉ざされた扉の向こうにある,幸福な時間
宮崎 宏興
1
Hirooki Miyazaki
1
1特定非営利活動法人いねいぶる
pp.272-273
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200873
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近年の地域包括ケア時代に,障害のある人(以下,当事者)の自立と社会参加,そして,地域リハと作業療法は,どのように考えられ,実現されるべきなのだろうか.
いつの時代も当事者は,「望む街で暮らしたい」,「働いて生活不安のない所得を得たい」,「家族の一員でありたい」,「自分らしく人生を全うしたい」等,常に社会の成員としての自分を見つめ,その時間や場所,コミュニティを自らのものとしたいと願っている.その期待に応えるべく,われわれOTは,社会の中にある課題に対して,どのように目を向けているのだろうか.当事者の中(特に心身機能やセルフケア能力等に)ばかりに注目し,当事者個人の変化や成長のみを期待しすぎていないだろうか? われわれが注目し働きかけすべき点は,当事者の不完全さでも,社会の秩序と安定でもなく,当事者が参加しようとする社会への扉が重く閉ざされ,望む社会参加と自己実現へチャレンジする機会を奪われていることへの再考なのではないだろうか?
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