女の幸福と人間の幸福

　女坂・女の勲章・女のいくさなど，女のうんぬんという題名の小説がよく書かれる。それらは，男坂・男の勲章・男のいくさなどということばに対するものであろう。

　ところで，女の幸福ということばがしばしば使われるのに，男の幸福というのをきかないのはどうしたわけであろう。そこで中年の家庭婦人や女子学生に，女の幸福ということばのイメージをたずねたら，答えはだいたい次のようなものであった。「社会的地位が高く，経済力のある男性の妻となり，その人の子どもの母となること」・「好きな男性の子どもを生む」・「男性にもたれかかって生きる」など。結局，女の幸福は相手の男性しだいよ，というのが多くて失望した。