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Key Questions
Q1:内部障害の定義は何か? またどのような種類があるか?
Q2:内部障害者に対する急性期作業療法をどう提供するか?
Q3:内部障害を有する重複障害者に作業療法を提供する意味と重要性は何か?
内部障害の定義と種類
内部障害とは,身体障害者福祉法に定められた身体障害のうち,心臓機能障害,腎機能障害,呼吸器機能障害,膀胱または直腸機能障害,小腸機能障害,ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の総称である1).身体障害者数は,2001〜2006年(平成13〜18年)までの5年間の推移で,視覚障害,聴覚・言語障害,肢体不自由者数がほぼ横ばいであるのに対して,内部障害者数の占める割合は26.2%から30.7%へと増加した2).内部障害者の内訳は,心臓機能障害が約55%で内部障害者全体の半数以上を占め,腎機能障害が22%,膀胱または直腸機能障害が約13%,呼吸器機能障害が9%と続く3).このように内部障害者数は増加傾向にある.内部障害者は,長期の安静・臥床等により身体・精神活動の抑制を強いられることが多く,その非活動性は全身臓器の機能低下,能力低下や心理面や生活の質(QOL)の悪化をもたらす.その結果,肥満,インスリン抵抗性,糖尿病,高コレステロール血症,動脈硬化につながり,心血管系疾患等に罹患して寿命を短縮するという「廃用症候群」を合併し,内部障害や運動機能障害がさらに悪化するという悪循環に陥りやすい1).よって,内部障害者は,単にADL維持や再発防止のみならず,他の合併症を防止する意味でも生活習慣の改善や,活発的な意味のある作業の提供が必要となる.内部障害者に対してOTは,廃用症候群の改善,家事動作や階段歩行等での息切れを減らす方法の指導,環境改善等,多くの役割を担える4)とされている.それに加え,内部障害者は疾患・障害が多様であり,生活のスタイルもさまざまである.個別性を活かしたオーダーメイドのプログラムの提供を得意とするOTに,今後のこの分野の発展が期待され,最近の内部障害の作業療法実践報告も増加してきている.
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