提言
関節拘縮の対応について思うこと
福田 卓民
1
Takumi Fukuda
1
1医療法人社団慶成会 青梅慶友病院
pp.1066-1067
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200711
- 有料閲覧
- 文献概要
高齢者自身が“あったらいいな”と思っているものをまとめた本がある.タイトルは『いちばん未来のアイデアブック—フツーの高齢者のみなさんが考えました』〔ルース・キャンベル,他(監),木楽舎,2016〕.帯には「延べ28時間に及ぶセッションで飛び出した,社会を変える285のポジティブメッセージ!」と記されており,セッションの内容の一部が装置や仕組みとして挙げられている.「1人で背中に湿布薬を貼れる補助機」や「忘れもの発見機」,「過去を振り返らなくなる眼鏡」等,ユーモアを織り交ぜた多彩なアイデア品が並ぶ.また,話が暮らしや環境に及ぶと,そこに登場するものは社会の不備を指摘しているようでもある.「笑顔で挨拶してくれるお店」,「誰も出て行かない町内会」,「自分にぴったりの主治医が見つかる紹介所」,「話を聞いてくれるのに,1人にもしてくれる施設」…….
読み進めるうちに,私自身が作業療法に携わる中で知った“自助具”や“ノーマライゼーション”,そして“地域リハビリテーション”等といった言葉が重なった.よくよく見ると,この本に書かれているものの多くは,今思う“あったらいいな”ではなく,以前から多くの人が不備を感じていながらも,いまだに解決されていない,いわば後回しにされてきた社会の課題を示しており,まさにメッセージ性に富んだ1冊であるように思えた.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.