Japanese
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特集 重度脳卒中者への作業療法
重度脳血管疾患者に対する知覚-運動アプローチ
Perceptual-motor learning for severe cerebro vascular disease
藤本 弾
1
Dan Fujimoto
1
1総合病院 回生病院
pp.315-321
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200529
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Key Questions
Q1:知覚と運動とは?
Q2:対象者の置かれている状況を知覚的側面から解釈すると?
Q3:知覚-運動アプローチの介入ポイントとは?
はじめに
脳血管疾患による死亡者数は1970年(昭和45年)をピークに減少しはじめ,2011年(平成23年)には肺炎に抜かれ,死因の4番目となった1).死亡者数が減少したということは,脳血管疾患を罹患した後に片麻痺を呈して後遺障害に悩む方が増加しているということでもある.また,近年ではrt-PA静注療法等の普及により,発症後可及的早期に症状の改善が図られることで軽症例も増加してきている反面,初期治療を逸した脳血管疾患では,知覚や運動機能面,高次脳機能障害等を含めて重篤な病態を呈するといったように,障害像は軽症・重症に二極化する傾向にある.
臨床現場においても再発を繰り返す方や,内科疾患・整形外科疾患との重複障害を呈する方も多く,寝たきりや重度の介助を必要とする脳血管疾患者が増加し,治療に難渋することも多い.しかし,重度障害で全介助状態の方でも,セラピストが知覚情報を的確に提供すると協力動作が得られることがあり,介助量が減少することや,その後の活動につながることを経験する.重度障害者にとってこそ,知覚情報が起点となり運動や活動に変化が生じるよう,知覚-運動にかかわっていくことが重要なポイントになってくると考えられる.本稿では介入例を通して,脳血管疾患者の知覚的側面の解釈と介入時のポイントについて紹介していく.
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