特集 脳血管障害による摂食・嚥下障害の理学療法
脳血管障害による重度摂食・嚥下障害に対するチームアプローチ
奥山 夕子
1
,
岡田 澄子
2
,
園田 茂
3,4
,
才藤 栄一
4
Okuyama Yuko
1
1藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーション部
2藤田保健衛生大学リハビリテーション専門学校
3藤田保健衛生大学七栗サナトリウム病院
4藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
pp.277-286
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100457
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重度摂食・嚥下障害のアプローチ
1.チームアプローチ
摂食・嚥下障害の誤嚥や窒息といった深刻な問題の中心には,咽頭期の障害がある.しかし,脳血管障害の場合,咽頭期が単独で障害されることはほとんどなく,先行期,準備期,口腔期,食道期の各期が様々な程度で障害される1).また,摂食・嚥下障害だけが問題になることは稀であり,四肢・体幹の麻痺や高次脳機能障害などの他の障害と合併していることが多い2).特に,重度な摂食・嚥下障害者では,長期臥床や活動性低下による廃用,繰り返す肺炎による全身状態の悪化,呼吸機能の低下などが,摂食・嚥下障害に伴って,あるいは二次的問題として多彩な問題を生み出している.
このように摂食・嚥下障害は全身の問題として捉える必要があり,そのリハビリテーション(以下,リハ)は摂食・嚥下関連器官への働きかけに加え全身的な管理やアプローチも重要である.したがって,多職種の医療専門家からなるアプローチが不可欠である.チームの構成員には,医師,歯科医師,歯科衛生士,看護師,言語聴覚士,作業療法士,理学療法士,栄養士,薬剤師,医療ソーシャルワーカー,臨床心理士といった様々な職種が存在する3).しかし,各施設により構成メンバーは当然異なり,それに伴いそれぞれの役割およびチームの役割は変わってくる.そこで,摂食・嚥下障害に対するアプローチに望ましいチーム形態と役割を考えてみる.
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