◆特集 アフォーダンスと臨床
アフォーダンスと臨床(ボバースアプローチ)—片麻痺者の視知覚と身体反応(移動)に関連して
柏木 正好
1
1富士温泉病院
pp.529-532
発行日 2000年12月25日
Published Date 2000/12/25
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
脳損傷後,生物学的な修復過程と共に急速に中枢機構の再編,再組織化が進行する.その過程およびその後の過程においても環境要因が重大な影響を持つ.しかもその環境要因の一つとして薬物治療と共に運動療法の重要性が指摘されている1).我々は治療において積極的に環境への関わりを促してきた.Horakの指摘2)にもかかわらず,ボバースアプローチは常に実践的な機能を追求しつづけるという本来の意味での課題志向的アプローチでもある3).Gibsonが提唱したアフォーダンス理論は,動物が環境から抽出できる(環境との相互関係を成立させる)感覚情報をより現実的に明らかにするものであり4),治療の可能性を広げるものと考える.今回1症例の治療場面を通して障害像の生態光学的な解釈と場面構成の工夫を紹介する.
Copyright © 2000, Japanese Association of Occupational Therapists. All rights reserved.