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Key Questions
Q1:内部障害患者へのOTのかかわり方とは?
Q2:心理的側面の問題が及ぼす影響とは?
Q3:作業活動を行ううえでの注意点とは?
はじめに
筆者の所属する菊池郡市医師会立病院(以下,当院)は療養型病床群を有し,地域包括ケア病床も含む一般病棟と合わせ124床の一般病院である.所在地である熊本県菊池市は,熊本県の北部を流れる菊池川の上流に位置し,東部,北部をそれぞれ山岳地帯に囲まれる.市域中央部から西南部は熊本平野の北東端にあたり,農業,酪農が盛んである.面積は約277km2,人口約5万人であり,65歳以上の高齢化率は27.1%と,国,県それぞれの平均値を上回っており,高齢化の進んでいる地域といえる1).
そのような地域がら,当院は高齢の患者が多く,脳血管障害や運動器疾患リハの対象者に内部疾患を併発している患者が多いのも特徴である.そのため,身体機能の問題に加え,認知機能の低下や,意欲・情動の低下から生活行為の低下をきたしている患者も多い.また透析センターや糖尿病センターを有することから,代謝・排泄系に問題をきたし,そこから廃用による著しいADL低下を呈した患者も多く経験する.
OTのかかわりとしては,2000年度(平成12年度)より作業療法室が開設され,脳血管疾患リハ,運動器リハ,呼吸器リハに携わってきている.当院では2012年度(平成24年度)より心大血管疾患リハの算定を開始し,医師,PT,看護師を中心としたチームにより包括的心臓リハを展開してきたが,2014年度(平成26年度)の診療報酬改定におけるOTの追記を受け,2015年(平成27年)5月よりOTもチームに加わって活動している.心不全に対するリハの目的は,運動耐容能の向上だけでなく,QOLの改善,再入院の予防,長期予後を改善することであり,そのプログラムは,①運動療法,②学習指導,③カウンセリングを含むものでなければならない.近年,慢性心不全に対する多職種のチームから成る包括的疾患管理プログラムの有効性が報告されている2).
今回,さまざまな基礎疾患を抱え複合的にアプローチを行っていく必要がある高齢の患者に対し,作業療法を展開した経験から,内部疾患を有する患者への作業療法の提供について私見を述べる.
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