連載 これからのがんサポート[3]
がん患者・家族支援の心理・社会的側面を理解する
品田 雄市
1
1東京医科大学病院がん相談窓口
pp.392-396
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200100
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ツールとしての「Total Pain」
皆さんもよくご存じのように、がん患者を全人的に理解する枠組みとして、「Total Pain」の概念があります。①身体、②心理、③社会、④スピリチュアル、これら4つの苦痛が相互に関連して、患者の「痛み」が生じているというものです。
別の視点からみると、この「Total Pain」の概念は、がん患者のニーズの裏返しでもあります。身の置き所もないような痛みは避けたい(身体)、不安に苛まれる日々には耐えられない(心理)、今までの暮らしを大切にしたい(社会)、自分らしい生き方をしたい(スピリチュアル)、など患者が自らと病との向き合い方を含めてがん医療に望むもの、と置き換えて捉えることができます。
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