Japanese
English
研究と報告
「痛み」の心理的側面—特にPain Behaviorについて
On the Psychological Aspects of "Pain", with Special Reference to Pain Behavior
丸田 俊彦
1
Toshihiko Maruta
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine
pp.1059-1064
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202538
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I.はじめに
医学専門分野の細分化に伴い,各分野における専門医が求められるとともに,最終的なところで愚者の全体像を把握,治療する立場の医師が求められている。殊に,病状が心理的要因を含む時,精神科医がその最終的立場に立たされることは少なくない。
痛み,中でも慢性の疼痛は,その代表的なものの一つであり,Mayo Clinicの場合,精神科への依頼患者の3分の1は,「器質的診断(organic diagnosis)の得られない慢性疼痛」である1)。いまだ純精神科的疾患以外のものに対する精神科的検索が一般化していない日本の場合,疼痛を主訴とする精神科外来患者は約10%である2)から,Mayo Clinicにおける「痛み」患者の占めるこの高い比率は,奇異に感じられるかも知れない。しかしながら,痛み,特に慢性疼痛の心理的側面を考える時,精神科と,内科,神経内科,整形外科,外科などとの協力体制は必然的なものであり,しかも,これらの各科において痛みの頻度が高いことを考えると,精神科において痛みの訴えの多いことも,不思議ではない。
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