Japanese
English
特集 百寿者研究から探る健康長寿への道
百寿者の心理的側面
-――認知と精神的健康
Psychological aspect of centenarians
――Cognition and mental health
権藤 恭之
1
,
張 欣宇
1
Yasuyuki GONDO
1
,
ZHANG Xinyu
1
1大阪大学大学院人間科学研究科臨床死生学・老年行動学講座
キーワード:
百寿者
,
認知機能
,
認知症
,
抑うつ
,
精神的健康
Keyword:
百寿者
,
認知機能
,
認知症
,
抑うつ
,
精神的健康
pp.291-295
発行日 2024年1月27日
Published Date 2024/1/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28804291
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長寿に関連する要因や長寿者の実態を明らかにするうえで,生物・医学的な側面だけでなく百寿者の心理的側面を理解することも重要である.本稿では,認知機能(認知症の有病率),抑うつ,幸福感を取り上げ,これまでの代表的な研究を概観した.その結果,認知症の有病率は男性50%,女性60%程度であることが示された.また,世界的にみれば110歳以上の年齢で認知症ではないケースも報告されているが,わが国のデータでは100歳以上で認知症の有病率は上昇し,112歳以上の女性では100%に到達することを紹介した.さらに抑うつや幸福感といった精神的健康に関しては,さまざまな資源が減少しているにもかかわらず顕著な低下がみられないことを紹介した.ただし,百寿者の心理的側面は時代推移による高齢者の機能改善の影響やさまざまな環境要因に影響されるため,今回紹介した結果は暫定的なものであり,将来的には変動する可能性があることに留意する必要があることを指摘した.
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