The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 16, Issue 2
(February 1982)
Japanese
English
特集 老人
障害老人の心理的側面
Psychological Profiles of the Handicapped Aged
長嶋 紀一
1
Kiichi NAGASHIMA
1
1日本大学文理学部
1Nihon University.
pp.103-106
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102574
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Ⅰ.はじめに
老年期には,心身ともに障害があらわれやすく,障害の程度にも個人差が多い.老年期の身体疾患でも,必ずしも老人特有の疾患ばかりではなく,若い頃に罹患した急性疾患や慢性疾患をもったまま老人期を迎えることもあり,さらに老人特有の諸疾患とこれらによる合併症が加わることもある.また,老人の場合には,身体疾患が精神面に影響しやすく,軽度の身体症状で高度の意識障害を引き起こすこともある.老年期の精神障害は,障害の内容が複雑多岐にわたっていて,その分類法もまだ確立されているとはいいがたいが,実際には,脳の器質的変化,身体的病変,心理的反応,機能的精神障害などが組み合わさって出現することが多いと考えられている.
このように,障害老人といっても,身体障害,精神障害,さらにこれら両方の障害を合わせもつ場合もあるので,その症状はさまざまであり,明確な概念規定をすることは困難であると考えられる.そこで,本稿では,脳血管障害を中心として,主として身体的疾患のために,運動障害,行動障害を有する障害老人の心理的側面について,その概略を述べることにする.
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