編集後記

　「認知症」の方の増加とその方々への支援のあり方は，全世界共通の課題である．昨年のWFOT大会2014でも，日本作業療法士協会主催シンポジウムが開催され，先進的な取り組みをされている各国の報告をしていただいたが，多くの国のOTが興味関心をもって参加していたことがわかった．

　新オレンジプランでは，基本的な考え方である「認知症の人の意思が尊重され，できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」に基づき，施策がより具体的に示されている．今回は，認知症の方々が地域で活き活きと生活できるようにOTが知っておくべき歴史，制度，疫学，国の施策の動向，診断，治療，作業療法の実際と，すべてが網羅できる特集を組むことができた．どの論文も最新の知見を入れた本当にすばらしい内容である．この1冊で認知症の全体がわかり，支援の内容が具体的に伝わってくる．学生から臨床家，OT以外の職種にも読んでいただけるものになっている．あらためて，著者の皆様に感謝申し上げる．