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はじめに
1.認知症疾患医療センターとは
認知症疾患医療センターとは,都道府県が指定する認知症専門の医療機関で,厚生労働省が2008年(平成20年)から創設を進め,2014年(平成26年)10月時点で全国に278カ所設置されている.地域において,認知症の進行予防から地域生活の維持まで,必要となる医療サービスを提供することを目的としている.
具体的な役割としては,①認知症疾患に関する鑑別診断とその初期対応,②周辺症状と身体合併症の急性期治療に関する対応,③専門医療相談の実施,④地域保健医療・介護関係者への研修等を行うこと,とされている.
2.施設概要
三重県立こころの医療センター(以下,当院)は,1950年(昭和25年)に開設された精神科病院で,スーパー救急,急性期,慢性期,アルコール治療・認知症治療等,8病棟400床を有している.
認知症治療においては,2008年8月に認知症疾患治療病棟の施設基準を取得し,50床で運営している.さらに,2009年(平成21年)4月,三重県の認知症疾患医療センター(地域型)に指定され,三重県中勢伊賀地域における認知症の専門医療・情報の提供,連携体制強化のための中心的役割を担っている.
当院で行っている具体的な取り組みは,認知症状の進行度に応じて3つに大別される.1つめは,予防と早期発見・早期介入のための取り組みである.鑑別診断(もの忘れ外来),医療連携・教育(連絡協議会・研修会の開催,学会発表),啓発事業(パンフレットの作成,出前セミナー,市民健康まつりでのブース開設)等がそれにあたる.2つめは,認知症をもちながら地域で生活されている方の支援である.電話相談,家族教室等を行っている.3つめは入院治療を必要とする患者に対して,専門病棟入院治療を提供している.
このような幅広い機能が求められる認知症疾患医療センターにおいて,OTがどのように専門性を発揮していくのか.本稿では,当院におけるOTが担う役割と,その具体的な取り組みについてご紹介する.
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