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はじめに
小児がんは小児の病死因の第1位であるが,年間発症率は約2,000~2,500人と少ない.2013年の当センターの診療実績1)では,全入院患者延べ数における小児がん入院患者数は6.5%であった.また,小児がんは小児期に生じるがんの総称であり,乳幼児から思春期,若年成人まで幅広い年齢に発症し,希少で多種多様ながん種からなる.主に造血器腫瘍,脳腫瘍,神経系腫瘍などが大半を占め,発見時は全身に転移していることも稀ではない.そのため強力な抗がん剤による合併症や,成長発達期に治療を余儀なくされるための発育・発達障害,内分泌障害,二次がんの発症など,小児がんの治療には数多くの問題が挙げられる.また診断後から始まる長期間の治療は,日常生活や就学・就労に支障を来すため,小児がん特有のフォローアップ体制を確立して,患者や家族への支援や配慮が重要となる.
成人がんの治療環境は2007年のがん対策基本法施行により整備が進んだが,小児がんの医療システムは,先に述べたような特性や種々の問題から今まで十分に発展しなかった.
そこで2012年6月の新計画では,小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられる環境の整備を目指し,小児がん拠点病院の設置という新たな対策が盛り込まれた.
当センターは2013年2月に拠点病院の指定を受け,今後小児がんに関する医療提供体制のモデルとなることを期待されている.また,がん患者リハビリテーション料を算定するための施設基準も取得した.
作業療法(以下,OT)の対象となる小児がん患者は増加しており,実際にOT新規処方に占める小児がん患者の割合は,2007年は2%であったが2013年には22%に増加しており,OTのニーズはますます高まっている.
そこで今回,当センターのOT部門における小児がん患者の動態を把握すべく調査したので報告する.
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